「ありがとう、ヘレナちゃん!
でも、あまり傷めつけ過ぎちゃうと、死体を運ぶ仕事が増えちゃうよ?
れおなちゃん、大丈夫だった!?」
なおみ様は、れおな様のことを心配して駆けつけながら、ヘレナ様に言いました。
「ふにゅ、大丈夫だよ…なおみちゃん。
…れおな達の任務、ここで一旦終了なのかな」
れおな様は、やれやれと思いながら諦めをつけていますが、ヘレナ様はそうはいかないようです。
「ちょっと来てもらえますか?」
ヘレナ様は少女が他の武器を隠し持っていないことを確認すると、彼女に命令しました。
そして、れおな様の方へと振り返り、提案をします。
「れおな様、今回の任務は一旦終了しませんか?
宣伝任務および同志の獲得という成果は、それなりに上げることが出来ました。
ここでひとまず、かおり様の元へと帰還し、報告を上げてから次のことを考えても遅くはないはずです」
れおな様も、似たようなことを考えていました。
しかし、ヘレナ様と大きく違うことが一つありました。
それは『帰還後、この少女を取り調べるかどうか』ということです。
れおな様はそのことを全く知らないため、ふたつ返事で「ふにゅ、そうだね」と答えました。
ヘレナ様は続けます。
「ありがとうございます、れおな様。
帰還中に『少々、お見苦しいところをお見せするかもしれませんが』、ご了承下さいませ」
れおな様と、なおみ様には、その言葉の意味するところが分かりませんでしたが、少女は分かっていました。
そのため顔色は悪く、ガタガタと身を震わせ、今にも泣き出しそうになっています。
ヘレナ様はそんな少女のことなど全く意に介せず、れおな様たちを馬車へと案内し始めます。
「帰還するとなれば、早くここを離れた方がいいでしょう。
仲間になってくれた同志たちは、もうすでに別ルートで本部へと向かい始めています。
私たちも、急ぎましょう」
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