昼。
人目につかぬよう、極力の注意を払いながら馬車へと辿り着きました。
馬車は、プラハ郊外に停めてありました。
この馬車には、黒色の薔薇戦線の幹部向けに少し改造が施されており、四人乗りが可能となっています。
れおな様たちの姿を確認した馬車の運転手が、ビシッと敬礼をします。
三人のお嬢様も答礼を返し、馬車へと乗り込みます。
ヘレナ様は乗り込む前に、馬車の運転手に本部へ向かうよう指示を出しました。
運転手の女の子は「了解しました」と答え、そして馬に跨るとお嬢様が乗り込み終わったことを確認し、出発をしました。
ガタガタと車輪と馬車を揺らしながら道を進み、いつしか何もない平原へと到着しました。
その頃には陽は沈み始めていて、少しずつ辺りが薄暗くなってきています。
「停めて」
ヘレナ様は運転手の女の子に命じます。
れおな様と、なおみ様は、ヘレナ様がおトイレをしたくなったのかなと思いましたが、そうではありませんでした。
ヘレナ様は乱暴に身柄を確保している少女を雑に降ろし、道から外れて平原の中へと連れていきました。
嫌な予感がしたので、れおな様はヘレナ様の後へと続き、なおみ様も一緒に降ります。
「や、やめて…
お願いだから、やめて…」
れおな様が到着する頃には、ヘレナ様は少女から奪ったM1900を構えて、まさに今から処刑する瞬間でした。
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