名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「ミレナについてですが、かおり様はどのようにお考えになられているのでしょうか?」
ヘレナ様は一歩前に出て、半ば抗議をするような姿勢で話をします。
かおり様は表情を全く変えずに、それに応じます。
「どのようにって、何がかしら?」
「…!?
彼女は、れおな様に銃口を向けたのですよ?
それについて、何もお感じになられないのですか!?」
ヘレナ様の怒りは、いよいよ頂点に達しようとしてきています。
しかし、かおり様はそれに動じることなく、一つ一つ、言葉を選ぶようにしてヘレナ様を諭します。
「当然、感じてはいるわ。
ミレナちゃんの生きてきた環境への不遇、任務時に生じている安全性の不具合、そして…
ヘレナちゃんの同志愛をね」
かおり様は静かに立ち上がると、ヘレナ様に語りかけます。
「ヘレナちゃん、貴女の革命の目的とは何かしら?」
予期せぬ展開に動揺しながら、ヘレナ様は答えます。
「我らが偉大なる指導者であらせられ、全人民を輝ける栄光へと導く観月みおり女王陛下の理想、その達成のためであります!」
緊張。
ヘレナ様は身体を少し震わせながら、何とか敬礼を維持し、そしてハキハキと答えました。
かおり様は辺りをゆっくりと歩きながら、目を瞑り、言葉を続けます。
「そう、その通りよね。
その全人民の中には、この子…ミレナちゃんも含まれているのは、ヘレナちゃんも理解出来てるはずよね?」
女王の威厳。
れおな様も、なおみ様も、その威圧に押されて緊張しています。
対面して話をするため、威勢よく切り出したヘレナ様は既に気を失いそうになっています。


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