「その、同志かおり様。
生産をするには、どうしても設計図やパーツ、それに必要な作業機器がいるのです。
これらを揃えないと、いくら大金があったとしても私たちの手には負えないのです」
かおり様は難しい顔をします。
そして、長い沈黙。
「設計図を奪取することは…無理よねぇ…
うーん、仕方ないわ。
上手にこれを模造して頂戴」
技術者の女の子たちは、更に困りました。
「その、同志かおり様…
模造も同じで…」
しかし、かおり様は厳命しました。
「多くの同志たちに、素手で戦うようになんて命令できないわ。
勝つか負けるかは、貴女たちにかかってると言ってもいいのよ?」
技術者の女の子たちは、かおり様の話を黙って聞いています。
「用意できる必要なものは、あたしが全て揃えると約束するわ
…大丈夫、貴女たちなら出来るわ」
技術者の女の子の一人が、口を開きました。
「…同志かおり様、用意出来るものは全て揃えて下さるのですね?」
かおり様は、コクリと頷きます。
「では、ブダペストに向かって、もっと多くの技術者と接触してみるのがいいかもしれません。
何人かは仲間になってくれるかもしれませんし、うまくいけば模造のために
必要な知識をもった専門家がいるかもしれません」
かおり様はニヤリとして言います。
「じゃあ、その技術者を探してくれば道が開けるかもしれないということね?」
技術者の女の子が答えます。
「はい、その通りでございます、同志かおり様」
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