名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

1910年9月2日(金曜日)
パリ、昼。
天候、快晴。
かおり様がボルシェビキ派に対しする態度を決めていた頃、カピトリーナ様はパリの自室にいました。
自室と言っても、半ば流浪の身に等しい環境下にいるので、自宅や別荘というものではありません。
とても質素な部屋造りは、かおり様に通じるものがあり、部屋には必要なものしかありませんでした。
今、その部屋でカピトリーナ様は、同志から気になることを聞かされていました。
「同志カピトリーナ様、もうご存知だとは思いますが…」
少女はカピトリーナ様に話しかけます。
「なんだい、同志ダリヤ?」
ダリヤと呼ばれた少女は、漆黒の髪をしたロングストレートで、目は水色、ほっそりとした体つきを
していて、背は低く、見た目よりも更に幼い少女が着そうなブラウンのワンピースを着ていました。
一方のカピトリーナ様は、まるで少年のような短髪で高い背をしており、体つきは細身ながらもがっちりと
していて、いかにも根性のすわった革命家といった風貌をしています。
そして、その赤い目は情熱に燃えており、普段からスーツを着用し、その上からダークグレーの
ロングコートを羽織っています。
「同志カピトリーナ様、黒色の薔薇戦線をご存知ですか?」
ダリヤ様は、カピトリーナ様に恐る恐る訪ねます。
実は、黒色の薔薇戦線についての情報伝達が非常に遅れており、カピトリーナ様の元に
伝わっていない可能性があったからです。
「黒色の薔薇戦線……?
なんだい、それは?」
カピトリーナ様は嫌そうな顔をしながら、ジロリとダリヤ様を睨みます。


次のページヘ82b
次のページヘ81b