名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「何かの冗談かしら?」
かおり様は、まだ状況を飲み込めていません。
そして、このときはまだ自分の才能について自覚を持っていなかったのです。
「冗談ではありませんよ、かおり様。
他の筋による情報ですと、女王主義の発展のため、世界人民のため、共に協力するための道を模索したい…
とのことです」
ここに至って、かおり様は一つニヤリとし、ある程度の状況は理解しました。
(メンシェヴィキ派に対する牽制ね…
みおり様の血を受け継ぐ身として、その影響力をコントロールしようとしてるのかしら。
とにかく、ここで有利に話を進めることが出来れば…全ての道が開けるわ!)
「マリアちゃん、到着はいつ頃かしら?」
かおり様は、どことなく嬉しそうに聞きます。
「はい、同志かおり様。
早ければ今月18日頃には到着するとのことです」
かおり様は、今にも声を出して喜びそうになりましたが、一つだけ不満な点がありました。
「んふっ…☆
出来れば、こういう知らせは明日聞きたかったわ…。
だって、今日聞いちゃったら、何だか…誕生日プレゼントをフライングして開封しちゃったみたいだもの」
そう。
明日は、かおり様の誕生日なのです。
だから、こんなに嬉しい知らせは明日聞きたかったという訳なのです。
「ですね、同志かおり様」
マリア様も、クスッと微笑みながら返しました。
「でも、それは贅沢なことよ。
ワガママは言っちゃダメよね」
和やかで、前途の希望に満ち溢れた空気が、部屋に広がります。
「このことは極秘にしておくこと、いいわね?
でも、ある程度の準備は必要だわ。
ヘレナちゃんの耳には、もうこの情報は入ってると思うけど…
明日、あたしから直接伝えておいた方が良さそうね。
ここが、勝負だわ」


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