そっと、静かに。
そして、迅速に。
かおり様はヘレナ様の局部に鼻をあて、クンクンと嗅ぎます。
(うーん…
…若いわね)
かおり様は、ちょっぴり幸せな気持ちになりました。
しかし、それは長くは続きませんでした。
「くすくす…
…かかりましたね」
ヘレナちゃんの声。
それは、とても勝ち誇ったような声でした。
「へ、ヘレナちゃん!?」
大きな声を出しそうになりましたが、何とか堪えて呼びかけます。
「今、私の局部をクンクンしましたね?」
どうやら、昨日のことを根にもっているようです。
それで、かおり様に一つのトラップをしかけたのでしょう。
「くっ……」
かおり様は言葉を失います。
その表情は、とても歪んでおり…後悔に満ちたものでした。
ヘレナ様はグルリと体勢を変えて、かおり様と向きあう形になりました。
ヘレナ様の勝ち誇ったような表情が戻ります。
「かおり様、イタズラしてごめんなさい…
私の…その、香りは…どんな感じでしたか?」
どうやら、トラップによる嫌がらせだけでなく、単に自分の局部の匂いが気になっていたという
ところもあったようです。
「どんなって…その…
悪くない香りだったわ。
うん、むしろいい香りよ。
貴女に仕えるオス犬は、きっと幸せ者になれるわ」
表情が変わるのと、謝罪の言葉を聞いたので、かおり様も真面目に答えました。
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