名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「本当ですか…!?
良かったぁ…」
ほんの一瞬、ヘレナ様から、年相応の少女へと変わる様子が見えました。
「ったくもう…
ほら、どいて。
片付けが出来ないでしょ?」
かおり様は、ヘレナ様をどかすと、周りの仲間たちを起こしていきました。
結果、ほぼ全員が二日酔いなどの症状を抱えていて、この日は片付けをするのが関の山でした。
いろんな出来事がありましたが、かおり様も、ヘレナ様も、みんなが幸せな思い出を作ったパーティーでした。
かおり様の片付けが終わり、奇跡的にも無傷だったナスタチュームの花束を花瓶に入れる頃には、日がどっぷりと沈んでいました。
「おいで、クズ犬」
かおり様は、少し疲れながらも幸せそうな表情で、クズ犬を呼びます。
その手には、誰が撮ったのかは分からない一枚の写真がありました。
「クスッ。
みんな…幸せそうな顔をしてるわよね」
かおり様は微笑みながら、クズ犬を抱き寄せて写真を見せます。
それは、まさにパーティー真っ最中の写真で、かおり様の部屋が崩壊している中で撮られたものでした。
そこに映された少女たちと一匹のオス犬の表情は、みんなイキイキとしています。
「これは、あたしの一生の宝物よ。
大事にしなきゃ」
かおり様は、アルバムの中へ大事に写真を差し込み、そして本棚へと保管しました。
「ふわぁ…
ちょっと、暴れすぎたわ…
…そろそろ寝ましょ、クズ犬♪」
かおり様はクズ犬を抱くと、ベットの中へと潜り込み、そして消灯しました。
「おやすみ、クズ犬…♪
明日も、頑張りましょうね」


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