名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

「大丈夫でございます、かおりお嬢様。
神々は、観月家の正当な後継者をお守りになられております。
必ずや、祖先の夢を叶えることとなるでございましょう」
村長は、自信たっぷりに、こう答えました。
そして、数冊の本を差し出しました。
「かおりお嬢様、これは観月家の方々がお留守になられている間に、秘密裏に
研究を重ねて作り上げられた本でございます」
村長は弱々しく手を動かし、その本を丁寧に、一冊、一冊、かおり様が手に取りやすい位置へと動かします。
その本は、とても年季を感じられるもので、相当長い年月をかけられて作られたことが分かります。
「何かしら、これは?」
かおり様は、本に手を伸ばし、村長に訪ねます。
「いわゆる、魔術書でございます、かおりお嬢様」
「はぁ?」
かおりお嬢様は一瞬、馬鹿にされているのではないか、と感じました。
電車が走り、飛行機という概念も、少しずつ現実的なものと近づいてきているというこの時代に、そんなものを
渡されたのではたまったものではないと思ったのです。


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