「あ、ありがとー…同志かおり様…!
私、頑張るわね!」
ハナ様は半ばパニックになりながらも、かおり様に返事をします。
しかし、かおり様は全く心配になりませんでした。
かおり様は、ハナ様の実力をよく理解していたので、その必要が無かったのです。
工作員の指揮官に、ハナ様を大抜擢。
この選択が正しかったことは、後の長きに渡り証明され続けることとなるのです。
「えぇ、しっかりと頼むわよ、同志ハナちゃん。
さっそくだけど、ハナちゃんにも指令を出すわ」
ハナ様は少し緊張しながら姿勢を正し、指令を待ちます。
「そんなに緊張しなくていいわ。
もっと楽にしてもいいのよ。
ハナちゃんには、さっそくだけど工作員に最適な人員を二十人ほど呼び集めて、十月一日には行動に移せる
ように待機させておいてくれないかしら?
工作員の配置先リストと…黒色の薔薇戦線のメンバー表はこれよ。
言わなくても分かると思うけど、これは極秘扱いの書類だから、ここからは持ち出しちゃダメよ?
あと、閲覧するときは、あたしに一言声をかけること。
いいわね?」
かおり様は、厳しい目でハナ様を見ながら言いました。
それだけ、この書類は重要なもので、まさに組織の心臓部と言ってもいいくらいのものなのです。
もし奪われたり、紛失などした場合は、翌日には組織は無くなっていてもおかしくないのです。
「は、はい!」
ハナ様は、任された職務の重さをよく理解して返事をしました。
「うん、よろしく頼むわね。
あたしは、貴女たちに期待してるんだから」
説明を終えると、かおり様はニッコリとウィンクをしました。
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