それは、どことなく諦観の漂う光景でした。
本を隠し終えると、すぐさま家を出て、カピトリーナ様を迎えられるように待機します。
かおり様は目を凝らして、ヤナ様の姿を探します。
暫くすると、ヤナ様はカピトリーナ様を案内して、かおり様の下へとやって来ました。
「ようこそ、黒色の薔薇戦線へ。
カピトリーナ様、貴女を歓迎するわ」
かおり様は、カピトリーナ様をハグして迎えます。
「君が観月かおりかい?
観月みおり様の娘と会えて、本当に光栄だよ。
こちらは、私の同志であり戦友のダリヤだ」
カピトリーナ様は、心底嬉しそうにダリヤ様を紹介をします。
「ダリヤ・ベリンスキーです。
貴女と会えたことを誇りに思います」
ダリヤ様は手を差し伸べて握手を求め、かおり様もそれに応じます。
「ダリヤちゃんね。
観月かおりよ、こちらこそよろしくね。
ヤナちゃん、案内ご苦労様。
もう行ってもいいわ」
ヤナ様はしっかりと敬礼をすると、その場を離れました。
「さぁ、こちらへどうぞ」
かおり様は二人を家の中へと案内します。
カピトリーナ様とダリヤ様は、グルリと家の中を見渡します。
そして「なんと謙虚な指導者なのだろう、無駄なものが一つもない」と好感を抱きました。
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