1910年7月15日(金曜日)
昼のスェーチェ。
ヘレナちゃんのパン屋さん、その地下室。
気候、雨。
この日、第二回目となる会議が行われました。
議題は、政府勢力から、いかに組織を防衛するか、女王通信の発刊についての二点がメインとなりました。
地下室の会議室には、スェーチェに残っているヘレナちゃんと、その同志たち計五名と、なおみ様がいます。
会議は、いきなり難題にぶつかります。
「政府勢力から、黒色の薔薇戦線をどうやって守っていくかということだけど…」
なおみ様が、資料を手にしながら声をあげます。
「政府勢力の中には、もちろんチェコ社会民主党も含まれてますよね?」
ヘレナちゃんが、なおみ様を見ながら言います。
「当然だよ、ヘレナちゃん。
あれはもう、女王主義を捨てた組織みたいなものだもん」
ヘレナちゃんは、こくりと頷くと、話を切り出します。
「では、チェコ社会民主党への攻撃を開始しても構わないですね?」
なおみ様は一瞬、ヘレナちゃんが何を言っているのかを理解できませんでした。
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