名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

1910年7月17日(日曜日)
ブゼムラティック、昼。
なおみ様は、前回帰還したときと同じように、大量の紙袋と弾薬の入った木箱を持って村へと帰ってきました。
今回は、かおり様も少し、なおみ様が持ち帰るパンを楽しみにしていました。
ヘレナちゃんのお店が作るパンは、とても美味しいのです。
「ただいまぁー!」
なおみ様の声が、かおり様の家の玄関で聞こえました。
「おかえり、なおみちゃん。
どうだった?」
かおり様は会議の結果を聞き、なおみ様が一つ一つ説明を始めました。
「なるほどね…。
それはいい手ね。」
チェコ社会民主党に対する工作活動。
このことについて、かおり様はとても興味深そうに聞き、そして、実施許可を出しました。
次いで、女王通信のことを話します。
「あら、それならヘレナちゃんが全部やればいいじゃない。
新聞でしょ?
週に一度くらいは、あたしも書いてみたいけど…
ちょっと、距離的な問題もあるし、普段の記事はヘレナちゃんに任せるわ。
その代わり、しっかりと大事な任務を疎かにしないように、と言っておく必要もあるけどね」
これは少し意外なことでした。
なおみ様は、話が拗れはしないかと、少し心配していたのです。
まさか、こうもあっさりとヘレナちゃんの希望が叶うとは思いもしていなかったのです。
「分かったよ、かおりちゃん!
それじゃあ、明日にでもスェーチェに出発して、そのことを伝えてくるね。
…にひひ~♪
かおりちゃん♪」
言い終わると、なおみ様は紙袋からパンを取り出します。
「ちょっと、なおみちゃん!
フライングよ♪」
かおり様も、負けじと紙袋の中から、パンを取り出します。
こうして、なおみ様の会議報告は終わりました。


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1910年7月17日(日曜日)