名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

1910年8月24日(水曜日)
ブゼムラティック、朝。
れおな様と、なおみ様は、任務のため一緒にプラハをはじめとする都会へと向かっています。
そのため、今日からは新兵の女の子たちの訓練を指導するのは、かおり様とシャールカちゃんです。
かおり様は、訓練の指導能力も素晴らしいお嬢様です。
何をすればいいのかをよく理解し、的確に指示を与え続けています。
女の子たちの能力を、限界までに高めようと一生懸命になっています。
訓練兵の女の子たちも、かおり様の指導に応えようと一生懸命です。
陽はいつしか高くなって、みんなのお腹がグーグーと鳴り始めました。
クリスティナちゃんがラッパを構え、食事の時間を知らせるラッパを吹き鳴らします。
正午。
自宅で食事を取りながら、かおり様はふと思いました。
軍民問わず、銃を手に取る組織ならば、どこでも『歌』があります。
しかし、黒色の薔薇戦線にも、この第一旅団にも『歌』がありません。
そんなことを考えながら、かおり様は一枚のレコードをかけます。
『Tramp, Tramp Tramp!』という、アメリカ南北戦争時に流行した軍歌です。
とても軽快なリズムのこの曲は、とても親しまれやすいものでした。
かおり様はペンを手に取り、紙に何かを書き始めます。
それは『第一旅団歌』と呼ばれる歌詞の誕生の瞬間でした。
しばらくすると、かおり様はクリスティナちゃんを呼びました。


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1910年8月24日(水曜日)