1910年9月29日(木曜日)
ブゼムラティック、正午。
曇。
「…なんだか、調子が出ないわ」
かおり様は、昨晩の就寝時間がとても遅かったため、それに合わせて起床時間もずらしていました。
朝昼兼用の食事をとった後、いつものように事務机に向かいましたが、足元の違和感がどうにも気にくわないみたいです。
「やっぱり…なんだか、寂しいわ」
思えば、ブゼムラティックに到着してからは、ずっとクズ犬が傍にいたので、いざ居なくなると酷く寂しくなってしまったのです。
「…ううん、ダメ…ダメよ、あたし…
このままじゃ、クズ犬が無駄死になっちゃうわ」
かおり様は、止まっている自分の手に気づくと、頭を振って自分を励ましました。
「……の……か…り様………」
馴染みのある声。
それは、ベットから微かに聞こえてきました。
しかし、かおり様はきっと幻聴だろうと思い、はじめは無視をしました。
でも、それは何度も聞こえてくるので、かおり様は確認のためにベットへと向かいました。
「かおり様ー!
僕は、ここです…ここにいますー!」
かおり様は大変驚きました。
「う…そ……?
クズ犬…じゃない…?」
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