1910年9月6日(火曜日)
ブゼムラティック、朝。
快晴。
この日は、かおり様のお誕生日です。
かおり様が自宅から出ると、軍楽隊の少女たちは一斉に楽器を
構え、そして高らかに『インターナショナル』の演奏を始めました。
「あら…」
かおり様は驚きました。
事前に、そのようなことが行われるとは聞いていなかったからです。
そして演奏が終わると『第一旅団歌』の演奏が次に行われました。
シャールカ様が叫びます。
「偉大なる同志にして、最高指導者であらせられる観月かおり女王陛下!
万歳!」
万歳三唱は天にも轟く巨大な声となり、まさに全世界に響き渡るような勢いでした。
サプライズは、まだ終わりません。
先ほど出た家のドアから、クズ犬が現れました。
れおな様と、なおみ様も合流します。
クズ犬の手には、ナスタチュームの花束があり、とても大事に抱えています。
かおり様は気配に気付き、振り向きました。
「お誕生日おめでとうございます、かおり様…!」
クズ犬はそう言って、かおり様に花束を贈呈しました。
兵士たちだけでなく、村の人々…いえ、この日のためにスェーチェから人々も、全員が一斉に拍手をしました。
「あ、ありがとう…クズ犬…みんな……」
かおり様は、あまりのサプライズに声が出なくなっていました。
「我らが最高司令官同志のご健康をお祈りします!」
兵士は敬礼をして叫び、他の人民も同時に声を上げました。
とても多い人々に誕生日を祝ってもらい、かおり様は感激の余りに涙を零しそうになります。
しかし、ここは泣く場ではないと思い、グッと堪えました。
そして、幸せそうな表情でこうお礼の言葉を述べました。
「みんな…ありがとう…本当に…ありがとう!」
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