名前:観月しおり&観月さおり

バカ犬の命がお嬢様に弄ばれた回数359回

幸せです、お嬢様…

1910年9月6日(火曜日)
ブゼムラティック、朝。
快晴。
この日は、かおり様のお誕生日です。
かおり様が自宅から出ると、軍楽隊の少女たちは一斉に楽器を
構え、そして高らかに『インターナショナル』の演奏を始めました。
「あら…」
かおり様は驚きました。
事前に、そのようなことが行われるとは聞いていなかったからです。
そして演奏が終わると『第一旅団歌』の演奏が次に行われました。
シャールカ様が叫びます。
「偉大なる同志にして、最高指導者であらせられる観月かおり女王陛下!
万歳!」
万歳三唱は天にも轟く巨大な声となり、まさに全世界に響き渡るような勢いでした。
サプライズは、まだ終わりません。
先ほど出た家のドアから、クズ犬が現れました。
れおな様と、なおみ様も合流します。
クズ犬の手には、ナスタチュームの花束があり、とても大事に抱えています。
かおり様は気配に気付き、振り向きました。
「お誕生日おめでとうございます、かおり様…!」
クズ犬はそう言って、かおり様に花束を贈呈しました。
兵士たちだけでなく、村の人々…いえ、この日のためにスェーチェから人々も、全員が一斉に拍手をしました。
「あ、ありがとう…クズ犬…みんな……」
かおり様は、あまりのサプライズに声が出なくなっていました。
「我らが最高司令官同志のご健康をお祈りします!」
兵士は敬礼をして叫び、他の人民も同時に声を上げました。
とても多い人々に誕生日を祝ってもらい、かおり様は感激の余りに涙を零しそうになります。
しかし、ここは泣く場ではないと思い、グッと堪えました。
そして、幸せそうな表情でこうお礼の言葉を述べました。
「みんな…ありがとう…本当に…ありがとう!」


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1910年9月6日(火曜日)