健夜
まさか、自分にあんな映画のヒーローのような体験のチャンスが巡ってくるとは、その時は夢にも思わなかったよ。
夜の繁華街の裏路地で、私はたまたまその事件現場に遭遇してしまったのです。

「やめてください、お願いですから……」哀願する少女を取り囲むように

「いいじゃねぇかぁ、少しくらいつきあってくれてもよう!」と、3人のチンピラ。

「……やめるのです、ボクたち!」思わず、口をついで出てしまった挑発の文句。もう後には引けません。

逆上する3人のチンピラ。ナイフを手にした人もいます。
ならば……と、私は左手で、懐からスマートフォンを取り出す。

「スマホキック!」私はすかさず、正面のナイフを持ったチンピラの鳩尾に蹴りを叩き込む。悶絶し、倒れるチンピラ。

「スマホ裏拳!」返す右拳を、唖然とするモヒカン頭の顔面に叩き込む。鼻の骨が砕け、昏倒する。

「スマホエルボー!」もう一人のチンピラの頭蓋骨を砕く。

「スマホチョップ!」残るひとりの頚動脈を断ち切る。



一撃必殺。

一瞬にして、私を取り囲むように倒れ悶絶する血ダルマが4つできあがった。

「次からは、相手を見て喧嘩を売ることですね……。」

返り血で真っ赤に染まったスマートフォンを拭き取りながらそっと、私に勝利をくれたスマホにつぶやいた。

「持っててよかった、PSP。」



よく読むと女の子も血だるまにしてるじゃねーか

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