本拠地、阿知賀スタジアムで迎えた土浦女子戦
先発新子(姉)が大量失点、打点も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響く後援会のため息、どこからか聞こえる「今年は焼き鳥だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、阿知賀のエース赤土は独りベンチで泣いていた
地元で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト…
それを今の阿知賀で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
晴絵「どうすりゃいいんだ…」赤土は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、赤土ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
晴絵「やれやれ、帰ってツモのトレーニングをしなくちゃな」赤土は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、赤土はふと気付いた
晴絵「あれ…?後援会の皆さんがいる…?」ベンチから飛び出した赤土が目にしたのは、松実館を埋めつくさんばかりの宿泊客だった
千切れそうなほどに手が振られ、地鳴りのように阿知賀女子学院の校歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする赤土の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた