今日も日課の部活を敢行すべく、少女に麻雀を迫る阿知賀赤土。泣き叫ぶ少女をレジェンド走りで追跡し、奈良の野山を駆け回っていた。
気が付くとそこは東京。追いかけるのに夢中になりすぎた阿知賀赤土は、都内で迷ってしまったようだった。
暗い、長い回廊を行くと、その先には光が。なんとそれは麻雀全国大会会場であった。スタンドに客はおらず、乾いたツモ音だけが響き渡る。
「よう来たな、お前が来るのを待っとったんや」
声の主は生涯最大のライバル、小鍛治健夜。何故こんな場所に。
いや、彼女だけではない。横浜の内川聖一選手、背番号25を付けた選手など、謎の失踪を遂げた選手の名前ばかりが電光掲示板に並んでいた。
微かな頭痛を覚えながらも、何かに背中を押されるように阿知賀赤土は卓につき、すぐに試合は始まった。
試合は両者一歩譲らず、プラマイ0のまま南4局へ。親は阿知賀赤土。小鍛治から放たれた渾身のリーチ宣言牌をフルスイングすると、白牌は高々と舞い上がり跳満をロン。

ベースを一周する阿知賀赤土をナインが出迎え、阿知賀赤土にも笑みがこぼれた。もう何も迷うことはない。全てを思い出した阿知賀赤土の胸元にはうっすらとネクタイが生えていた。
仲間達と1人ずつハイタッチをかわしていると、最後にグータッチで構えてニッコリと微笑む老婆の姿が。胸ポケットに入れていた採用通知書を破くと「これはもう必要無いね(ニッコリ」と一言残し、去って行った。
なお、姿を消した阿知賀赤土は、ファンの間で長く語り種となる模様。
阿知賀赤土、思い出す