『
キル子梨汁ブシャー』
そこには頭から梨汁を浴びせかけられ、全身がずぶ濡れになったキル子の姿があった。
長い黒髪をぐっしょりと濡らし、水滴を滴らせながらキル子は俯いている。
紺色のブレザーは梨汁が大量に染み込んで暗い色になってしまい(まるでキル子の今の気持ちを表す様に)輝いて見えた光沢感も失われてしまっていた。
じっとりと濡れたスカートは太ももに張り付いて、染み出した水分が脚を伝って流れ落ちていく。
スカートの裾からは水滴がポタポタと滴り落ち、キル子の足元には水溜まりが広がっていた。
○○は、ずぶ濡れで俯くキル子に声をかけようとした。
だが○○が声をかけるより先に、俯いて沈黙を続けていたキル子の口が開かれた。
そして、○○はキル子の『声』を聞いた。
○○「」
○○は固まって動けなくなった。
まるで金縛りにかかったかの様に。
動けない○○の見ている目の前で、梨の妖精は崩れ落ちる様に彼女に土下座をした。
あの優しいキル子がここまで怒るなんて……。
考えてもみれば、ふなっしーをよく知らない人からしたら『あれ』は体内から出てきた怪しい液体に他ならない(『
やる実梨汁ブシャー』みたいに酷い誤解をしてしまう人だっている)
そんな物を頭からぶっかけられたら……
キル子が怒るのも無理はないと思う。
だけど、それでも……
○○の感情はどんどん高ぶっていき、とうとう金縛りの様な硬直を強引に振り解いた。
土下座するふなっしーを見下ろす様に俯いて佇むキル子に○○は歩み寄る。
そしてキル子の手を掴むと、その手を引っ張って足早にその場から立ち去った。
あんな事をされたら普通は誰だって怒る。
そんな事はわかっている。
それでも、○○にはこれ以上堪えられなかった。
キル子にゆるキャラが土下座している(させられている様に見える)光景を見るのが、この上なく辛かった。
こんなキル子の姿が誰かに見られてしまうかもしれないのも凄く嫌で、キル子を連れて今すぐこの場所から離れたかった。
ふなっしーへの直接的な怒りよりも、キル子をなんとかしてあげたい、なんとかしなくてはという気持ちで、○○はその事で頭がいっぱいになっていた。
返事134‐15