●人気の無い所で○○は立ち止まり、キル子の方へ振り返る。
水滴を滴らせながらキル子は俯いていて、水気を含んだ髪と制服はずっしりと重たい空気を纏っている。
見ているだけで居た堪れない気持ちになった○○は我慢の限界に達し、ずぶ濡れのキル子をギュッと抱きしめた。
抱きしめられたキル子のブレザーから、ジワリと梨汁が染み出す。
キル子を抱きしめ、自分自身もキル子のブレザーから染み出た梨汁に濡れながら○○は言った。
キル子をあのまま見ていられなかった事を、あの光景を誰にも見られたくなかった事を、
そして、こんなに優しいキル子が『心が広い人間ではないはずがない』と思っている事を。

キル子「………。」ポタポタポタポタ
キル子がここまで怒りを露わにしたのには、理由があった
何故なら、キル子はこの制服を…ブレザーを…
『
○○の為に着ている』のだから
キル子「………。」ポタポタポタポタ
●「あ、あ〜……」
ヤバイ、やっぱり引いちまったか…。キル子ちゃんにどうしても買ってあげたいって何故か思ったんだよな。
「いや、このハンカチと髪飾り。露店でって言っても新品だからな?値段も高くないしね。」
勢いで渡してしまえと思ってたんだがな……
「え、えっとだな……カキツバタもカスミソウも花言葉が良かったんだ。確か……」スマホチラッ

キル子「は、花言葉ですか…?;」
キル子「………;」
キル子「…ど…どのような花言葉なんですか…?;」ハテナ
キル子は、花に詳しそうに見えて全然詳しくなかった返事134‐16