──お、○○。
そろそろ来る時間だと思ってたぜ。
……、…?…おい、どうした、暗い顔をして。
いつものへらへらした顔はどこに行ったんだ。……何かあったのか?
(手招きをされ近付くと、指先で頬を撫でられた。赤い瞳に覗き込まれる。
心配そうなギルと目が合った。)
(…暗い顔も何も、どん底に暗い気分だ。
明日で、ちょうどひと月。そう、私は明日、正式にエクソシストとなる。つまり……ギルをこの手で祓う時がやって来る。)
………………ああ、そうだったな。
明日か…。
………ケセ。安心しろよ、覚悟なんてもんはとっくに出来てる。
今更逃げも隠れもしねえよ。
それに最初、言っただろ?○○みてえなお嬢さんの手で最期を迎えられるんなら悪くねえな、って。
これがあの腐れ神父なら、最後の力を絞って抵抗する所だけどな。
…お前ならいいぜ、○○。
俺様でしっかり、悪魔を祓う儀式の練習をしろよ。
ほかの悪魔なら大人しくなんかしてねえだろうからなあ。
(ケセセ!と明るく笑うギル。
………こうしてると、至って普通の優しい男性なのに。
私は明日、彼を殺さなくてはいけないんだ。)
…………私、ギルのこと、殺したくない………