……ああ、いいぜ?
キス位安いもんだ。
(ぐ、と腕を引かれ、唇に口付けられた。)
……でもな、お前が本当に口付けて欲しい相手は俺じゃねえよな。
"アーサー"だろ?
お前はたまに、俺にそっちの俺を重ねて見てる時がある。
視線で分かるぜ。その時のお前は、寂しそうな顔をして、俺を懐かしむように見て来る。
……正直、不愉快だ。
俺は確かにアーサー・カークランドだが、…お前の大好きなアーサーではない。
俺とアイツは別世界の別人だ。
…お前が今キスをした相手は、アイツとは全く別人の男だ。
よく見ろ。
(顎を持たれ、上を向かされる。)
…俺は"アーサー"じゃない。
いい加減、ちゃんと"俺"を見ろ。