おう、目隠しされてるからな。目は見えてないぜ。
でも耳がある。
ランプがカタカタ音を立ててる…だからそれを持つ手が震えてんだろうな、っていう簡単な推理だ。
ケセセ。……なあ、何しに来たんだ?こんな夜に。
お前、昼間来た時はすげえ怯えてたろ。
(「………分からないけど、なんか、行きたい、行かなきゃって思って…」)
…………ふーん?
まあいい、どちらにせよ退屈だったんだ。
此処でこの状態にさせられてもう何ヶ月だ?
俺様が人間だったらとっくに気が可笑しくなっちまってる所だ。いやあ悪魔でよかったぜ~。
しかも俺様、アンタに祓って貰えんだろ?
ケセセ、あの神父に殺されんのは御免だと思ってたが、最期がお嬢さんの手で迎えられんなら悪くねえかもな。
顔が見えねえのがちと残念だが。
…なあ、お前、またここに来てくれよ。
なに、こうしてただ話し相手になってくれりゃぁいい。
ダメか?
…どうせ俺様は来月にゃ死ぬんだろ?
だったらせめて…少しくらいこうして話し相手になってくれても罰は当たんねえんじゃねえか。
悪魔に罰も何もねえとは思うけどよ。ケセッ。
なあ。頼む。
…少しでいい。たまにこうして、話し相手になってくれ。
(少しだけ、弱々しくそう言う彼に、同情心が湧いてしまった。
こんな暗いところに、あんなに拘束された状態でずっと一人で置かれて……話くらいなら、してあげてもいいんじゃないか…?
彼の言う通り、何か手出しできるような状態でもない。いざとなれば、…就任前に悪魔祓いの儀式をするのは禁止だけれど、いざとなれば!祓う事だって出来る、し。)
………アーサーさんに、バレない程度にしか来れないけど…