名前:アーサー

スコーンの数172個目

撫でる!

(私の家は代々から続く悪魔祓いを職とした家系で、勿論私もその跡を継ぎ、エクソシストになる事は幼い頃から決定していた。

勉強の為山奥にある小さな教会の、神父のアーサーさんの家でお世話になりながら、とうとう来月、正式にエクソシストになる就任の儀が行われる。)

(私は今まで、悪魔──というものと実際に対面した事は無い。
正式にエクソシストとなっていない人間が悪魔と対峙する事は危険で、憑かれてしまう可能性もある。
だからその日が来るまでは見るべきではないと教わって来た。)

(──悪魔とはどんなものなんだろう。
街の人々は恐ろしいものだと言う。
でもアーサーさんは一度たりとも、悪魔は恐ろしいとは口にはしなかった。

悪魔は、弱い心に付け込んで来るもの。嘘でも虚栄でも、恐ろしい、などと口にすべきではない。怯えてはそれが弱点になる。
俺たちには悪魔を祓う力があるのだから、怯える必要ははないのだ、と、そう教わって来た。


……そうは言っても、正直、不安しかない。
ものすごく恐ろしい見た目をした生き物だったらどうしよう。
ものすごくグロテスクな見た目かもしれない。
本に書いてある悪魔の姿なんて本当かどうかも分からない。
本当にやっていけるのだろうか……)