(ふ、不安しかねえ…………なにあれこわ…………)
(自室でベッドに潜り、ぬいぐるみを全力で抱き締めながら私は苦悩していた。だってなに…なにあれ…あれが、悪魔…
低級も低級、とか言ってたけど、地下に入った時のひどい不快感。あれで低級とか言われたら、もっと強い悪魔と対面したら私どうなってしまうの?死んじゃうやめてください!!)
(そんなことを思いながら、ふと枕元を見る。
…地下室の鍵はお前に預ける、と、渡された、錆び付いた古い鍵。そっと手に取り、眺める。)
(──瞬間。
またびり、と静電気のような感覚が手に走る。
でも、今度は痛くなかった。
不快感も無い。むしろ、心地の良い温かさを感じて……。
…………どうしてか、分からないけど。
もう一度、あの地下へ行きたい…………そう思ってしまった。)
(頭がくらくらする。鍵を握る手が熱い。
もう二度と見たくない、行きたくない、そう思ってはいるのに、私の足は、祭壇の隣にあるあの扉へと向かっていた。)
(扉を開け、地下へ向かう。アーサーさんと来た時に感じた不愉快な感じはしなかった。
階段を下りて、あの、悪魔がいる部屋へ着いた。)
(……来ちゃった。来ちゃった、けど、どうしよう。なんで来たんだろう。やっぱ帰ろう。私なんか変だ。
そう思って踵を返し戻ろうとした瞬間。
アーサーさんと来た時はひとことも喋らず、動かず、意識があるのかさえ分からなかった悪魔が身を捩った。じゃら、と鎖が音を立てる。)
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