お、おう……。
いやその、別に変なものって訳でもないし見せたら悪いものみたいな風に言わなくてもいいっつーか、ああいやへ、変な意味じゃなくて!!き、気にすんなって事だ!!
…っ、…ごほん!
…ほ、ほら、それに濡れてたら寒くなってくるだろ。ちゃんと着とけ。
(変に口出すと色々ボロが出ちまう……)
(……ボロ?ボロってなんだ。まるで俺が内心邪な事ばっか考えててそれを必死に隠してるみたいな…そ、そんなことはねえ。いやゼロではねえけども。俺は紳士だし……ほら、すぐにジャケットだって貸してやったし。俺は紳士…英国紳士…)
(すぐに止むだろうと思っていた雨は、どんどん強さを増していく。ばたばたと屋根を打ち付ける雨の音に、思わず一歩下がった。背中にシャッターがぶつかる。
雨が降り始めてから、周りに人気が無くなり、今や周りを見る限り、俺と○○しかいない。
強い雨の音に、隣から聞こえる静かな息遣い。)
(…………なんだか、まるで。)
……世界に二人しかいなくなっちゃったみたい