名前:アーサー

スコーンの数172個目

撫でる!

……おや。おかえりなさい、○○。


その様子ですと…私の期待通りには行かなかったようですね。


(魔界に戻り、菊様の元へ行く。私の表情を見て察したのか、目を細めてこちらを睨んで来た。思わずびくりと肩が震える。でも、私はもう覚悟を決めて来たんだ。)
(「……私、魂を人間から奪うなんて出来ません」)


…出来ない、と。

つまり、魔界から追放される事を選ぶという事ですか。

……正気ですか、あなた。
まだタイムリミットまで時間は残ってるでしょう。私が与えた魔力だって全然使っちゃいないじゃないですか。
何故諦めてしまうんですか。…あなたが男性嫌いなのは知っていますが、追放されるよりずっとマシだと思うんですけどね。


(「…アーサーが、私を他の男に触らせたくないって言ってたから……。だから、もういいんです。」)


…………"アーサー"。

ああ、○○が下界で世話になっていた男の名前ですか。
………あなたはその男に恋をしてしまったんですね。

……はあ……この仕事をするにあたって、一人の人間に固執することは良くないと最初の研修の時に強く言ったでしょう。
…本当に、あなたはこの仕事に向いていないですね。


………分かりました。
サキュバスとしての死を選ぶという事ですね。


(こくりと頷くと、菊様はまたため息をついた。)


…あなたを魔界から追放するに当たって、まずすべき事があります。
まず、あなたが持つ魔力は全て没収。今後一切魔術は使えなくなります。魔術、というより、サキュバスとしての力は一切無くなりますからそのつもりで。

……まあ、それは良いのです。それは簡単なことですからね。ええ。
次が問題なのですが…。


(そう言い、菊様が刀を取り出した。)

(「え、あ、あの……わ、私その刀で切られて殺される感じですか……」)


? いえ。殺しませんよ。
ああ……もしかして魔界を追放される、イコール殺されるとでも思っていたのですか?
私が言う、サキュバスとしての死、というのは、サキュバスとしての力を一切失うという事。

……つまり、あなたは魔界を追放され、下界に落ちることになります。

人間に成り下がるのですよ、あなたは。


……え……えっ!??に、人間になれるんですか!??