……漸く起きられましたか。
(はたと目が覚めると、目の前に私を見下ろす菊様がいて、あれ……夢かな……悪夢じゃん……二度寝しよ……と目を閉じた。)
ほう。私を前にして二度寝とは。
少し見ない間に随分と肝が座った様で大変素晴らしいですね。
(ヒールのあるブーツでぐり、と尻尾を踏まれ痛さに飛び起きる。)
(夢じゃなかった!!ごめんなさいめっちゃ痛いです!!!!)
……はあ。
…期限までもう1日もないですが、あなたからはなんの音沙汰もなく。どうなっているのかと思い呼び出したんですよ。
……………その様子だと、全く駄目みたいですけどね。
(はあ、と溜息をつく)
…あなた、分かってるんですか。
魔界を追放されればもう戻っては来れないんですよ。
つまり、サキュバスとして死ぬということです。
………べつに、あなたの事が嫌いで言っているわけではないんですよ。
私にも上司がいるんです。上司には随分と前にあなたを追放しろと命じられていたのですがね、色々頑張って誤魔化し引き延ばしていたのですが……それももう無理そうでして。
今年中に、あなたになんとかして頂かなければ…私にはもうどうしようも出来ません。
……○○。じっとしてなさい。
(顎を持ち上げられ、口付けられる。
それと同時に、身体に魔力が満ちていくのが分かった。)
私の魔力を差し上げます。少しですがね。
先程のあなたでは魔力が足りず魔術もろくに使えそうになかったので…これで暫くは大丈夫でしょう。
………あなた、今、人間の男性と一緒に住んでいるんでしょう?
それなら改めて相手を探す必要も無いでしょうし話も早い。魔術を使ってすぐに魂を奪ってしまいなさい。
…今更、男性が怖いなんて言い訳は通じませんよ。もう時間が無い。いいですね。
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