(早朝で人が少ない街中をあてもなく歩く。
きんとした冷たい空気に、すんと鼻をすする。
悪魔は寒さなんて感じないのに、手足がひどく、ひどく冷たく感じた。
駅前のベンチに座る。
…この駅にも、何度も仕事帰りのアーサーを待つために通ったっけ。
この道もお出かけの時、何度もアーサーと歩いた道だ。シャッターが開いていないあのスーパーも、何度もアーサーと買い物に来た店だ。)
(……もう会えないんだ。会ってはいけないんだ。
そう実感して、泣きそうになる。俯いてアーサーが買ってくれたマフラーに顔を埋めると、アーサーの匂いがして、余計に涙が出そうになる。
こんなとこでこうしてる暇なんてないのに。やらなきゃいけない事があるのに。)
「……お姉さん、大丈夫?そこで何してるの?」
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