(ーー朝。
嬉しそうなイヴァンの声で目が覚めた。)
○○!はやく起きて、見て!外!
(ベッドから引きずるように下ろされ、窓から外を見る。久しぶりの太陽。外は快晴だ。)
ここがこんなに綺麗に晴れるなんて珍しいなあ。
まあ、寒いのに変わりはないけどね。
……、…ねえ、○○。
(貴女の首元を撫で)
…痕、消えたね。
昨日の夜まではくっきり残ってたのに。
…………あのね、○○。
この小屋を出て、僕と一緒に街に、行かない?
あのね、僕、君と過ごして……なんていうか、すごく救われたんだ。
誰かが寄り添って側に居てくれるって、凄いことなんだね…。
いつも…僕に近付いてくる人たちなんて、みんな、悪いことばかり考えてる人達だから…。
君みたいに、僕を友達だって言ってくれる人なんていなかった。ただ、そばに居てくれる人なんて…いなかった。
……君のこと、僕が何にかえても守るから…。
これから先もずっと。僕のそばに居たら大変なことばかりだと思うけど、それでも、絶対に君のことを守るから……
だから、ねえ……おねがい。……一緒に街にいこう…。
目を覚ましちゃいやだ…………。
いなくならないで……消えないで…。
(ぎゅう、と強く抱き締めらる。
……イヴァンは、私がもう帰ってしまう事を察していたのか。
それとも昨晩私が見た夢と同じものを見たのか。
傷跡がすべて消えたら、それは別れの合図。)
(…ごめんね。その気持ちを込めて、強く抱き締め返す。)
…………
…ごめん。……こんなこと言って。
…ほんとは分かってたんだ。
だって、君は夢を見てるんでしょ。夢は、いつか覚めるものだから…
たとえ僕が手を下さなくても、覚めるものだって…きっとそういう終わりが来るって……。
…きっと今日、外を晴れにしたのは、君なんだと思うよ。
いつまでもこんなところに居ちゃいけないって。
前に進めって…。
君はそれを僕に教えに来てくれたんだ。
うん。
…うん。ありがと。わかんないけど、まだ辛くて、苦しくて、その気持ちは、消えてないけれどーー……。
…………僕は国だから。
立ち上がる人が一人でもいるなら、僕がそれを支えて、生きていかなきゃ。
確かに辛いことばかりだけど、それだけじゃないってやっと思い出したんだ。君のおかげでね。
……僕、もうすこし頑張ってみるよ。
きっと、みんな、姿を消した僕のことを心配してるだろうから…。
僕は小屋を出て、街に戻るよ。
…君がいなくても。ちゃんと、頑張るから…。
……だから……いつか、……いつかまた、未来で君に会えますように…。
………До свидания.○○…。
(優しく口付けられて、目を閉じた。)
(ーーきっとまた、すぐに会えるよ。イヴァン。)
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