名前:アーサー

スコーンの数172個目

撫でる!

ーーーー最後に日帝のやつを魔法で別世界に飛ばしてやったのはいつだったか。

あれ以降、俺も日帝も忙しくその話題はぱったりとお互いに出さなくなった。
だが日帝はきっと忘れてはいないだろう。当人ではない俺ですらしっかりと覚えている。
戻って来た時の日帝の緩み切った顔。俺がそっちに興味があると言った時の動揺した顔。なんとも愉快だった。

勿論、それだけじゃない。
所謂、パラレルワールドというものに興味があった。

日帝が言うには、その別世界には日帝と同じ顔の日本がいて、俺と同じ顔のイギリスが存在し、二人はなんとも仲睦まじくお互いの家を行き来したりお茶を嗜むような穏やかな関係らしい、と。
聞いたときは思わず笑ってしまった。日帝と二人でお茶を飲む事は確かにあるが、仲睦まじくなど冗談ではない。あの捻くれた根暗で無愛想でつまらん爺と誰が好き好んで仲良くするか。

あくまでもあいつとの関係はビジネスだ。わざわざプライベートで日帝の家に遊びに行く、などと冗談でも笑えない事だ。