(…だが、あいつは素直に協力などしてはくれないだろう。
でも俺は知ってるぜ日帝。触媒はお前、だけじゃない。あっちの世界から持ち帰ったものがひとつあるとな。)
(俺は一つの封筒を取り出し、小さく笑った。
なんとも可愛らしい封筒に可愛らしい字で書かれた、日帝さんへ、という文字。
日帝はいつもこの手紙を大切に持ち歩いていた。これを見つけたのはたまたまだ。
日帝が世界会議の日。会議室にたまたまスーツのジャケットを忘れて行った日があった。俺がジャケットを預かった時、内ポケットからこの手紙が落ちてきた。)
(見ただけで分かる明らかな恋文に、からかう材料になればと中身を見た。そこには日帝への愛の言葉と、………元の世界へ帰っても、私を忘れないで、という文字。
それを見てすぐ分かった。これはあの別世界の彼女から貰ったものだと!)
(そうと気づいてからの俺の行動は早かった。
このジャケットをあいつに返す前に、もう1度魔法を使い、扉を開かなければ。
屋敷に帰り、一番奥の部屋に向かう。床には昨晩書いた魔法陣がそのまま残っていた。魔法陣の真ん中に日帝のジャケットごと放り投げる。
ーーーそして、興奮で震える手で呪文を唱えた。)
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