(はっ、と目が覚めた。またいつもの夢を見てたらしい。ぼんやりしたまま顔を上げると、目の前に私を見下ろすアーサーがいた。あれ、私部屋で寝てたはずなんだけど……)
…………?
……おい、お前が○○か?
(私の前にしゃがみ顔を覗き込むアーサーに首を傾げる。私が○○か?…って、なに変な事聞いてくるんだろう。とりあえずこくりと頷く。)
はあ……?
んだよ、全く普通の女じゃねえか。
あーあ、がっかりだ。思ってたのと全然違ぇ…
(よくわからない事を言いながら立ち上がるアーサーの背を見る。そこで、は、と気付いた。
絨毯の柄と、窓際のカーテン。……これは夢でよく見てた、アーサーの部屋だけどアーサーの部屋じゃない……あの部屋と同じだ)
(……それじゃあ、ここは夢の中……?
…そういえば、アーサーの雰囲気もいつもと違う、様な。いや、でも私は確かにもう目が覚めて……)
さっさとジャケット返さねえとなんねえし、帰すか…。
おい、女。そのまま動くなよ。
(アーサーが何かの呪文を唱えると、私の足元が光出し、……すぐにその光は消えた。)
………あれ?
…い、いやいやいや……呼び寄せるのにはめちゃくちゃ魔力消費するが元の場所に返すのはそんなに消費しねえはずだ…
も、もう1度……
(何度も光っては消え、光っては消える。繰り返すたび、どんどんアーサーの顔色が悪くなっていく)
…………(冷や汗ダラダラ)
……………あー………ゴホン。
…○○って言ったか、Lady.
残念な知らせだ。原因はよく分からねえが…お前を元の世界に帰すことが難しくなった。
だが安心して欲しい。難しくなった、ってだけで帰れない訳じゃねえ。
日帝だって初めてお前の世界に行った時、時間が経ったら勝手に帰って来てたらしいからな。魔法の効果が切れれば自動で帰れるだろう。
…日帝…?日帝って、日帝さんの事?