おお……中々綺麗じゃねえか。
(ライトアップされ光に照らされた桜は、昼間とはまるっきり違って、とても綺麗だ。妖艶な雰囲気さえある。)
……これなら、夜に来たのは正解だったな。
もう半分くらい散っちまってるけど、ライトアップされてるおかげで咲いてる桜が目立ってて、葉桜があんまり気になんねえな。
ま、葉桜は葉桜で風情があって好きだけど…はは、危なかったな。お前の言う通り、来週じゃ遅かった。
(立ち止まって、目を細め桜を見上げる。
その瞬間風が吹いて、桜の花びらが舞った。
アーサーの髪の毛に、肩に、桜が乗って……その姿がすごく様になっていて、アーサーは桜が似合うなあ…なんて思いながら、アーサーに見とれてしまった。)
……な、なんだよ、んなじっと見て…
あのな、お前は桜を見に来たんだろ。俺を見てどうすんだよ。
(「アーサー、桜に攫われそうだな、なーんて思ったの。ふふ。」)
…、桜に攫われる……?
攫われる、って、…………まさか…!
(はっとした表情で私に近付いてきて、腕を掴まれる。なに、と言おうとしたら、私の顔の横あたりに向かって手で払うような素振りをした)
こいつら…公園に来てからずっと、俺の顔見てクスクス笑いながらお前に引っ付いてて、何してんだろうと思ってたけど…攫おうとしてたって事かよ!?
(「……えっ、」)
バカ!攫われそうになってんのはお前の方だろ!?
おいお前ら!!○○は俺のもんなんだよッ、お前らにはやらねえからな!!
攫うなんざ却下だ!遊んで欲しいんなら他当たれ!
ったく……絶対俺の事からかってるぜ、あいつら…どこの国でも妖精さんってのはイタズラ好きだよなあ…くそっ、全員でクスクス笑いやがって…。
いくらイタズラ好きだからってさすがに攫われんのはさすがにシャレになんねえよな…。
(キッ、と桜の木を睨むアーサーに、今更「冗談だよ」なんて言えない、し……な、なにが居たんだろう……妖精…い、いつもの妖精さん、だよね?幽霊的なアレじゃないよね?)
……?どうした、大丈夫か?
あいつらはもう離れてったし、安心しろよ。
あ、でも油断はすんなよな。俺も見とくけど…。
(警戒するように辺りを見渡すアーサーに、思わずふふ、と笑う。)
…な、なんだよ、お前まで笑って……。
俺は真剣なんだからな!?
うん、ありがと。私は"アーサーの"、だもんね?攫われないようにちゃんと見てて。