名前:アーサー

スコーンの数172個目

撫でる!

(世界地図、というものを島に来る商人の人に1度だけ見せてもらった事がある。
私の住む島はここらへんにある、と指差した所には、島はなく、青い海しか描かれていなかった。

首を傾げる私に、商人は笑いながら、この島は世界地図から隠され、ひっそりと海に浮かぶ島なのだと。島の周りはいつも霧が凄くて、波が荒くて、岩が多く、行き方を知っている者しかこの島には上陸出来ないのだと話していた。)

(私はこの島で、島を守る巫女として親代わりである菊さんと共に暮らしていた。
島には私と、菊さんと、島民が数十名しか住んでいない。
この島はとても神聖な場所で、代々決められた人間しか足を踏み入れてはいけない、と、島の当主である菊さんがよく話していた。

とは言っても外の世界と完全に切り離した生活というものは中々難しく、昔から繋がりのある商人が船で物資を持ってひと月に一度この島へとやってくる。

何故かその時だけは、島の周りの霧がよく晴れるのだ。)