………霧が、よく晴れたな。
お前らが寝静まった後ずっと浜辺にいて、いつ船が来ても良いようにと合図のための火を焚いて海を眺めていたんだが、本当に驚いたぜ。
0時を過ぎた瞬間から、霧が一気に晴れていくんだな…。
霧だけじゃない。波も、霧が消えるのと同じようにどんどん穏やかになって行った。これはどういう仕組みなんだ?
まるで魔法か…呪いのようだな。
……。
…○○。
今日、俺は○○に言わなきゃねえ事が三つある。
………まず一つは、行商人は来ない。
そして二つ目。
あの船が見えるか?…あれは海賊船だ。
此処へと向かって来ているのが分かるだろ。
…あの船は、俺の船だ。
…………最後。三つ目。
俺の名前は……オリバーじゃない。
…俺の名は、アーサー・カークランドだ。
ああ、そうだ。俺は行商人なんかじゃない。
菊が警戒していた、海賊のアーサーとは俺の事だ。
……騙していて悪かったな。だが、そうでもしなけりゃ俺は菊に殺されてただろ。こうするしか無かった。
……じゃあ、何を、しにこの島へ来たの?