…………ん。そ、か。
……ありがとな。
じっとしてろ。大丈夫だ、優しくしてやるから。
(そう言うアーサーに、…もう何を言ったって無駄だろうと思い、私は、小さく呪文を唱えた。)
ーーッ!
…っ、おい、おまえ、まさか……
(ぴた、と動きを止めたアーサーの腕の中から離れる。
…拘束魔法を使ったのはアーサーとはじめて会った時以来だ。あの時は魔力も残りわずかで、拘束魔法を使っただけでへとへとだったけど、今は菊様がくれた魔力がたっぷりと残っている。)
(「……ごめんね、アーサー。ありがとう。…さようなら。」)
(もう1度呪文を唱える。
アーサーは必死に抗っていたけれど、魔術に適うわけもなく、気を失うように眠ってしまった。
拘束魔法を解いて、眠ったアーサーに毛布をかける。)
(……アーサーが私を好きだと言ってくれた。
それだけで良かった。もうなにも怖いものなどない気がした。)
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