花魁、ねえ……。

もしも××が花魁だったら……こうしていつでも抱き締めることもちゅっちゅすることもできないんだろうなあ。
それでもお嬢ちゃんが花魁やってたら、おじさん毎日通っちゃうぜ。間違いなく。
……破産しても通っちゃうんだろうなあ。一瞬でも、こうして触れていたくて……全財産使い果たして、借金しちゃうんだろうなあ……(ちゅっ)


花魁姿の××はそれはそれは可愛いに決まってるが………………××は花魁じゃなくていい! このままでいい!(ぎゅううううう)

……本当に××が花魁だったら、ありんす姉ちゃんは今よりも更にお前さんにご熱心になるんだろうな。


そしたら俺ァ……いや、なんでもねえ。



(いつもは包み込む様に優しく抱き締める阿伏兎の腕が、今回はまるで母に泣き付く子供の様だった。子をあやすように阿伏兎の背を撫でると、抱き締める力が一層強くなりそろそろ苦しさを覚えてきた)
(いつも強くて頼もしいあの彼が弱々しく映る。私より遥かに年上の彼が幼い少年の様に映る)
(私はただ、微かに震える彼の背を撫で続けた)
花魁