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…わからない。

俺たちは、イヴァンさん…というか、彼という一つの国に、たくさん、たくさん、ひどいことを、されました。

だから、許すことは、絶対に、できないけれど…。



俺たちは、国で。

だけど、俺たちの意向が、必ずしも、国の意向じゃ、ないですよね。

…イヴァンさんは、どうなのかなって。

彼は昔、帝政でしたよね。

正教を信じて、皇帝を崇拝していました。

でも、革命が起きた途端に、彼は無心論者になり、共産主義のもと、…名目上かもしれませんが、労働者の味方になりました。

……共産化革命が起きた原因の一つとして、1905年のあの事件がありますよね。

彼は言いました、「仲良くなれない子はいらない」と。

そういって、たくさんの市民に発砲して、たくさんの人を殺して…革命が起きて。

でも、その革命政府の代表は、またイヴァンさんなんです。

……結局、俺たち国を作るのはそれぞれの国民性と、国際社会における外交的態度、きっとどんどん色んな要素が後付けされて、俺たちはできています。

だから、きっと、本当の意味での俺たちの個性って、実はないんだと思います。

……だけど、全くないわけじゃない。

国にだって個人的な恋愛感情とか、趣味とか、考え方とか、そういうのはあると思うんです。



イヴァンさんのこと恨んでる?