12月上旬 ある喫茶店で
「アイシアさんってさ」
「うん?」
「独り身だよね?それと今月誕生日だよね?」
あ、そうだった。しかし、アイシアさんの誕生日は六日。とうにクリスマスが近いこの日に、音姫がその話を持ち出してくるとは思わなんだ。
アイシアさんは、一人寂しく、誕生日もクリスマスも過ごすかと思っていたが、誕生日は街中でおもちゃの街頭販売中に子供に囲まれ――いや、あの人も十分子供っぽいが――、かなり楽しそうに過ごしていた。そしてちゃっかり、俺ん家にごはんをたかりに来たのだ。大のいい大人が。
「そこでだよ?クリパも呼んで、更にうちでクリスマス兼お誕生日会やろうかなって」
「ああ、いいなそれ――ごめん、出ていい?」
「うん」
音姫の話を遮るように、俺のスマホが騒ぎ出す。液晶を見れば、タイミングよくアイシアさんからの電話で、それが今、音姫と共にクスクスと笑う要因になった。
「はいもしもし」
『◯◯くん!24日のクリパって、一般人も入って大丈夫だよね?』
「はい、大丈夫ですよ」
『あ、音姫ちゃん!えへへっ、じゃあ行くから!』
「喜んでお待ちしてますね♪」
音姫の横入りに合わせ、俺はスマホを音姫に渡した。音姫とアイシアさんは仲が良いんだよなあ。魔法使いという共通点があるからか、貧乳だからか。
「……◯◯くん?」
「なに?」
「今、心の中でスッゴく失礼な事考えたよね?」
「い、いえ!」
……安直にそういうことを考えない方が身のためだ。
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