名前:ミスティア・ローレライ

焼いた鰻の数106本

鰻一本

「……幽々子様。それ位にしてあげてください。少々お戯れが過ぎますよ?」
諦めかけていた俺の耳に、声が聞こえた。
屋台の方からだ。
「あら、妖夢。貴方いつからそこに居たのかしら?」
その言葉で、妖夢が止めてくれたことに気付く。
だが、本当に「お戯れ」なのか?
こっちとしては彼女が止めてなかったらと思うとゾッとするんだが。
「最初から居ましたよ!」
「あら?そうなの?妖夢は存在感が薄すぎるわね。だから半人前なのよ?もっと存在感を出しなさいね」
「理不尽な扱い!?」
「あ、雀さん。この鰻、あるだけ貰っていくわ」
「あの、お会計!」
「あ、それは私が。……それではお二方、お騒がせして申し訳ありませんでした」
「妖夢ー。次はあの店行くわよー」
二人もまた人ごみに消え……ることは無くすぐそこの店で綿菓子を買っていた。
「た、助かった……」
「……嵐の様に去って行ったな…」
「相変わらず嵐のようなヒトだ」
「はぁ、まだ心臓がドキドキしてるよ……。あのヒト、冗談に聞こえないんだもん」
「大丈夫かい?」
「うん。なんとか……。でも毎回食べられそうになるのは勘弁して欲しいかも。身が持たないわ……」
「ははは……」
「さて、全部売り切ったし今日は店じまいだね!私たちも露店、回らない?」
「うん、行こう」
「そういえば花火が上がるとか言ってたなぁ」
「そうだね。そろそろ……」


夏祭りイベント12