名前:ミスティア・ローレライ

焼いた鰻の数106本

鰻一本

【回想終わり】
「ミスティアー。約束どおり連れきてやったわよー」
縁側でぼーっとしていると、霊夢がその手に萃香をぶら下げてきた。
「うぅ……」
「ほ、本当に引きずってつれてくるとは……」
「はっ!ここは……。くっそ、離せ!」
「わっ」
思わず手を離す霊夢。
「あれ?そんなにこの仕事、嫌だった?」
「え?あぁ、いや、そうじゃなくてさ。私も別件が入ってたんだよ」
「ありゃ、そうだったのか。そしたら他の手も考えたのに」
「だって霊夢が……」
「そんなのダメに決まってるでしょ!私の命がかかってんだから!」
「大げさな……」
「ああ!?」
「いえ、なんでもないです」
「それにしても去年のはどうしたんだよ?」
「それはその……壊れちゃったの。幽々子さんとの弾幕ごっこで」
「あー、なるほどね……」
呟く萃香は、哀れみに満ちていた。
「そういうわけで、なんとかお願いできないかなぁ」
「もう腹は括ったよ。どうせこの巫女様が終わるまで帰しちゃくれないだろうしね。ただし、夏祭りではサービスしてもらうよ」
「うん、分かった。そしたら、どれくらいかかりそうかな」
「そうだね……。まぁ去年使ってたやつくらいのヤツでいいのなら一晩貰えれば出来るよ」
「ははは、一晩ってそんな無茶な……」
「鬼を嘗めたらいけないよ、お坊ちゃん。鬼は嘘吐かないってとこ、証明してあげる。明日の夜明けごろ、あんたらの家に飛び切りの屋台持ってってやるよ」
そう良い残して萃香は立ち去った。
気づくと、霊夢もいない。
「さて、と。私たちも準備、始めますか!」
「準備って具体的に何をするの?」
「そうね。出店をやるならまず人里で許可を取らないと。許可は慧音に頼めばすぐにOKしてくれると思うからこれは今日中にやる」
「その後は?」
「指定された場所に屋台を一旦運ぶんだけどこれは里の人がやってくれるから問題ないとして……八目鰻の在庫が足りないだろうから明日はそれを仕入れに行く予定だよ。こんな所かな。他に質問は?」
「特に無いかな」
「それじゃあ早速里に行こうと思うんだけど、あんまり時間も無いから飛んでいくよ」
「分かった。じゃあ、よろしく」
差し出されたミスティアの手を握ると、体が重力を振り切った。
「さぁ、しっかり掴まっててね!」

夏祭りイベント3