「それで?なぜ彼を元の世界に戻してあげないのか説明してくれる?」
医者がそう言うと、その不気味な少女は凶悪な笑みを強めた。
「あら、人聞きの悪い。私が『返さない』んじゃなくて、彼が『返れない』のよ」
言ってる意味がよく分からない。
「どういう事?」
それは永琳さんも同じのようだ。
「貴方の言っていた人間は全て、結界の裂け目に気付かず越えたもの。もしくは、私が神隠しに落とした者。……それは昔の話だけれど、ともかく彼が落ちた場所には結界の裂け目は見当たらなかった。藍に確認させたから、間違いないでしょう」
「それって、つまり……」
「そう。彼はもう幻なのよ」
「……じゃあ、あなたはもう」
悲しげな目を向けられた。
俺は、本当にもう戻れないのか。
別に向こうの世界が気に入ってた訳ではない。
だけどもう二度と戻れないと思うと、どこか寂しさを覚えた。
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