――ガッ
死を覚悟して目を閉じたその時に誰かに腕をつかまれた。
「あ……れ……?」
その衝撃に目を開けると、少女が、俺の腕を掴んでいるのが見える。
「間に合った。まったく……無茶するね君は」
何が起こったのか理解出来ず呆けていると向かい風が酷いことに気付き、周りを見やった。
……身体が宙に浮いている!?
「う、うわぁああああ!!」
「大丈夫、落ち着いて」
声の主を見上げると、俺を安心させるために微笑んでいる。
少し冷静になって少女を見ると、背中に羽があるのが見えた。
その翼で力強く、俺をぶら下げながら空を飛んでいる。
「き、君は……?」
「私はミスティア。ミスティア・ローレライ。夜雀という妖怪だよ」
「夜雀……妖怪……?」
「うん」
訳が分からない。
この子は一体なんの話をしてるんだ?
しかし現実に羽の生えたこの子は俺をつかんで空に浮いている。
となると本当にこの子は妖怪……?
いや、そういうなんか、機械とかかも知れない。
「ちなみにアレも一応妖怪だね」
妖怪少女が顎で後ろを示した。
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