客人を見送ると、俺は自分の部屋に戻っていった

部屋の近くまで来たところで、何やら箱が置いてあることに気付く
客人の忘れ物か、それとも…

今日が特別な日であるだけに、つい期待をしてしまう
淡い期待を持って箱を開けてみると、何やら黒い蝶と手紙が入っていた

貴方へ
紫の式の力を借りて作ってみました
チョコレートの蝶だなんて洒落ているでしょう？
しかも見れば分かるけれど、これって浮いているのよ
何だか色々な法則の下浮かせたらしいのだけれど、私にはよく分からなかったわ
取り敢えず食べられるから安心して頂戴
本当は手渡しで渡したかったのだけれど、今日は紫達も来るし、二人きりになるのは無理そうだったから、こういう形になってしまったわ
ごめんなさいね
それでは、美味しく頂いてね♪
貴方の感想と1ヶ月後のお礼、期待しているわ♪
幽々子

…妙な手紙を受け取りましたね
気をつけた方が良いかもしれません

いつの間にか後ろに立って、俺の手紙を盗み見ていた妖夢
なかなか失礼なことをする
それにしても、気をつけてとはどういうことなのだろう？
手紙も妙なところはなかったと思うが

幽々子様は他人の名前をあまり言いません
私か紫さん、祖父位です、幽々子様が他人の名前を言うのは
その手紙の主は偽者かもしれませんよ

神妙な面持ちでそんなことを言う妖夢
確かに、幽々子が人の名前を言うところなど聞いたことがあまりない
しかし、何となくだがこれは幽々子本人が書いたものだろう
そして紫、妖夢、妖忌…
幽々子が名前で呼ぶ彼らの共通点は…

まだまだ寒い2月の風だが、今日だけは暖かく感じた


おしまい