ここは永遠亭
私としては特に用事があるような場所ではない上に天敵がいるから、あまり近づきたくはないんだけれど…
貴方は生者だから、お世話になることも多いかもしれないしね
ここには天才的な薬師がいるし
あら、貴女がここに来るなんて珍しい
幽霊でも病気になるの?
あ、恋の病かしら
まあとりあえずお茶でもどうかしら永琳の言葉に幽々子は甘えることにしたらしい
幽々子が「ありがとう」と言うと、永琳は手早く3人分のお茶を準備した残念ながら、恋の病を患うには歳を重ねすぎたわ
高揚はするけれど、動悸が激しくなったりはしないわよ
ところで、こちらでは恋の病も治せるのかしら
そうね
治せないこともないわよ
症状としては、体温の上昇、動悸、息切れ等でしょう
それらに効く薬を処方すれば良いわ
もしくは、原因の根源を絶つとか
青酸カリなんて良いんじゃないかしら?永琳は妙な笑顔でそう言うと、毒を薬として処方すると言ってきた何か、化学的に言われると妙に興ざめしてしまうわねー
そういうことばかり言っているから、貴女にお相手が現れないのではないかしら?
あら、失礼ね
これでも結構人気なのよ
姫様には負けてしまうけどあの方は昔からそうだったのでしょう?
そういうのもあるから、私はあまり外を出歩いて欲しくないし、実際あまり…外は出歩いてないんだけど…
何かちょくちょく人里の人間とかに見られるのよね
博覧会なんかで
そこで色々…あるわよそうなの
よし、彼女に「誑し」の称号を差し上げましょう♪
姫様がその称号をもらったから…と言って、貴女がそうならないわけではないからね
むしろ貴女の…ほうがたちが悪いわ
ところで…永琳は話を区切ると貴方の方を向いた彼が婚約者かしら?そうそう
もとは外の世界の方なのだけれど、私…との結婚で幻想郷に長く住む…ことになったからね
丁度良いから案内を…兼ねたデートをしているのよ
それなら今後は会う機会も…多いかもね
とりあえずお近づきの印…にこれを差し上げましょうか永琳はそう言うと薬箱を取り出し、中からカプセルを手渡したこれは何?
夜のお供
大事…でしょうそれは…大事だけれど…
…あ、ところで…ひとつ聞きたいのだけれど
もし亡霊が…妊娠したら、こちらで…処置って…出来るの?
出来るわ
前例は…ないけれどそれって出…来ないのではない…かしら?
前例はない…けれど、大体どうな…るかの予測は…立てられるわ
あまりにも…突飛な…現象が起きな…ければ、対処は…可能なレ…ベルよへええ…
科学…はやは…り凄い…のねー
ねえ
何かしら?何も、一服盛ることはないのではないかしら?
何か聞かれたくないことでもあるの?
それはこちらの台詞
感謝して欲しいわねまあ…そうだけれど
貴女が何を仕出かすか
私はあの妖怪と違って情報がないから、生憎検討が付けられないのだけれど、過程はどうあれ結果としては私が必要になるでしょう過程についてはお楽しみね
怪しまれない様にはしているわ
でも結果としては、貴女のお世話にはならないかもしれないけれど
やはり、確実性には欠けるらしいわ
それはそうでしょうねそれにしても、よく私の意図が分かったわね
紫と二人だけで進行させているのに
彼にすら言っていないのよ
貴女が我侭なのは大体知っているしね
恐らくそういう結果を望むだろうと予想しただけ
それなら、こちらとしても準備だけはしておかないとね
さっきも言ったとおり前例はないから、万全は期しておかないと世話をかけるわ
そう思うんなら、私の準備を無駄にしないよう頑張りなさい
処置する方としては、患者の笑顔が見れないことが一番辛いからねありがとう
さて、そろそろ私達はおいとましましょうか
ほら、貴方、起きて
起きないと寝込みを襲っちゃうわよ♪
それならもう少し薬の分量を多くしておくべきだったかしら
揺すれば起きる程度の分量だったからあら、残念
貴方はいつの間にか眠っていたらしく、話の内容がいまいちはっきりしていないのを感じた
思い出そうとするが、やはり断片的にしか思い出せなかった
申し訳なさそうな顔を見せる貴方に対し、永琳はいえいえ
むしろこの場で眠るくらいリラックスして頂けるとは嬉しいわね
診療所ってだけで、みんな妙に緊張してしまうからと言って笑顔を見せるふふ♪
寝込みが襲えなかったのが残念だったわー
それではそろそろ行きましょうか
それでは失礼するわ
幽々子と貴方は最後にお辞儀をすると、移動をはじめた移動する