…その発想はなかったわ

幽々子は困った顔でそう言う
だが幽々子の説明には、「三人では駄目」という言葉はなかった
それならばいけるはずだ

うーん…
それなら…三人でやる？
やっても仕方がないとは思うけれどね

俺は幽々子のその言葉に頷くと、颯爽と手を出した
それに続いて幽々子、そしてゾンビフェアリーが手を重ねる

それではやりましょうか

重なった三人の手が西行妖に触れる
西行妖に触れている間、誰もが無言だった



…ちょ、ちょっと？

沈黙を最初に破ったのは幽々子だった
何事かと思い見てみると、何やらゾンビフェアリーが幽々子に対して熱情の眼差しを向けている
…また誑し込んだのか

いやいやいやいや、そんなことしてないわよ！
この子とは今さっき手が触れただけよ！
それが何故こんなことになっているの！？

慌てて弁解する幽々子にゾンビフェアリーが迫る
まずい、これ以上は成人向けになってしまうかもしれない
そう思った俺は幽々子とゾンビフェアリーを置いて駆け出した

ちょっ！？
薄情者！
助けて！
誰かー！
あ…！

俺の背後から幽々子の叫び声が聞こえる
とても気になったが振り向くことは出来ない
とても文章に表せるものではないことは容易に想像できるからだ
俺はどこまで走り続けた
目尻に何やら水の流れる感じがした



おしまい