名前:西行寺 幽々子

189面ボス   (8でショートカット説明書)

餌を与える

その部屋には無数の光があった
まるで獣の目のような光
その全てが俺達の方を見ていた
そしてその中央には、獣達の主であると思われる少女が猫を撫でながらこちらを見ていた


ぐるるるるー
食ーべちゃーうぞー!


…これは怖がった方が良いのだろうか
しかし怖さよりも可愛さの方が先行してしまう
というより全然怖くない


食べちゃうぞー!

少女…橙は俺に近付き同じ言葉を繰り返す
怖がれる要素がまったくないのだが、このままでは泣いてしまうかもしれない
そう思った俺は無理して怖がる…必要もなかった
突然奥の方から何かが走ってくるような音がしたためだ
驚いた俺が反射的に音のした方向を見ると…




…何故怖がらない

凄い形相でこちらを睨む藍がいた
これは完全に怒っている
何故怒っているのかは分からないが、バレンタインや花見で見た藍とあまりにも違い過ぎてとても怖い
…何故お化け屋敷でこんな怖さを体験しなければならないのか


紫様の親友である幽々子様の御友人だからと言って、何をしても許されると思っているのか?
こんなに可愛い橙が頑張って驚かそう怖がらそうとしているんだぞ
それを貴様は…
そこになおれ
そんな輩はすべて私の手で成敗してくれる


これはどう見ても演技ではない
藍は俺を仕留める気だ
藍の態度と放たれる殺気に、俺は満足に動くことも出来なくなった
そして…




突如ズボンの裾が引っ張られた
それにより俺の身体は、まるでさっきまでの硬直が嘘のように動くようになった
俺は部屋の出口に向けて走った


待て!

後ろから怒声が聞こえるが振り向かない
俺は扉を素早く開けると身体を滑り込ませ、先程までいた部屋を後にした





藍様!
これからが怖くなるところだったのに!


すまない…
どうにも頭に血が昇ってしまってね
次は大人しく見守ることにしていよう
燐さんもすみません


おりんで良いよ
それにしても、まさかあそこで御主人が硬直するとは思わなかったよ
あたいが裾を引っ張らなかったら本当に危なかったかも
死体が増えればあたいとしては嬉しいけどさ


次こそは頑張りましょう!

そうだね
それじゃ、あたいはまた猫に戻るとするよ




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