名前:西行寺 幽々子

189面ボス   (8でショートカット説明書)

餌を与える

廊下を真っ直ぐ行けば出口だが、この廊下には分岐がある
その分岐は渡り廊下になっていて、白玉楼の庭を一望することが出来る
その庭は妖夢の手入れもありとても綺麗な庭で、今日のような満月の日には一層映える
俺はちょっとした好奇心から、渡り廊下の方へと歩いていった



満月の光を浴びた庭はとても幻想的だった
庭にある様々なもの
一件無造作に置かれた小石や傘でさえ、考え抜いて置かれたものだと感じさせる
そして更に少女の嗚咽
これすらもこの庭を美しく魅せる一つの要因となっていた
ゾンビフェアリーとともにその美しさに暫く目を奪われていたが、ふと違和感があることに気付く
確か庭にあんな不気味な紫色の傘など置いていない
それに少女の嗚咽
悲鳴ならまだしも、何故ここで嗚咽が聞こえるのか
しかもその嗚咽は傘のところで聞こえる
俺は少し躊躇ったが、傘のあるところまで行ってみることにした




う…ぐすっ…うらめしやー…

てっきり泣いていることに意味があると思っていたのだが、驚かせ方はとても古典的だった
顔を見る限り、どうやら本気で泣いているようだ
驚かせる側がそんな顔だと、こちらとしては困ってしまう


うう…あなたも驚いてくれない…
ひっく…一人くらい驚いてくれたって…ぐず…


小傘はそれを呟くと傘に潜り、再び嗚咽を漏らしだした
何故だろうか
凄く悪いことをした気分になってくる
いたたまれない気持ちになった俺は、今更ではあるが怖がる素振りをしてみせた
勿論まったく怖くない


え…?
も、もしかして驚いてくれた?
やった!
墓場でしか驚いてくれないと思ってたけど、お化け屋敷でもいけた!


根がポジティブなのだろう
小傘は俺の小芝居を本気にすると、先程の泣き顔が嘘のように晴れやかになった
…これはこれで心が痛い


ありがとう!
私もっと頑張るよ
貴方も頑張ってね


そう言うと、小傘は庭にある大きな石の影に隠れはじめた
…傘が見えているのだが
また泣くような事態にならないことを祈りつつ、俺は渡り廊下を後にした




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怖い祭渡り廊下